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サラセミア撲滅へ向けてマレーシア政府の取り組み

日本の高校一年生にあたるFORM4の子供達を対象にしたサラセミアの血液検査の時期になってきています。

サラセミアというのは地中海に多く見つかったため「地中海貧血」と呼ばれるヘモグロビンに異常が出てしまう遺伝性の病気です。異常なヘモグロビンは脾臓で溶かされてしまう溶血性貧血というものだそうです。


α型とβ型の2種類があり東南アジアではβ型の遺伝子を持つ人が多いそうです。(中国系はβ、マレー系はαという説も)
地域的にはマラリアが多い(多かった)地域によく見られる遺伝子異常だそうです。
遺伝子を持つ男女が子供を持つと、時に流産という形で産まれずに亡くなってしまったり、産まれてきても治療をしないと20歳まで生きられないケースもあるとか。
軽症で普通の生活を送れるケースや全く自覚症状が出ないケースも。(これがサラセミアが増えてしまう原因)

以前は結婚前や妊娠中の検査が推奨されていましたがあまり効果がなく自発的に検査を受ける人が少なかったそうで、昨年から高校一年生の団体での半強制的な検査が始まったそうです。(親の検査同意書の提出が必要)
昨年検査を受けた生徒さん7万7094人のうち、なんと!!!8600人という高い割合で遺伝子の異常が見つかったそうです。マレーシアの高校生の10人に1人以上が遺伝子に異常を持っていて、それを自覚していなかった子もたくさんいるはず。(日本は1000人に1人らしい)

サラセミアスクリーニングの血液検査は子宮頸がんの予防注射のように、ワクチンで将来病気になる確率を減らすという性質のものではありません。
ではなぜ高校生に検査を受けさせるのか?
それは異常な遺伝子を持つ子供同士が将来結婚、妊娠して、産まれてくる子供が同じ遺伝子を受け継いでしまうリスクを「遺伝子を持つ人間同士の結婚、妊娠を避ける」ことで減らしていく必要性を、恋愛感情が生まれやすい高校生という若い年代に自覚させるためだそうです。結婚してしまってから、妊娠してしまってから二人ともサラセミアキャリアだったとわかるのは辛いです。
サラセミアの遺伝子を持つ人と持たない人の間に生まれてくる子供は遺伝子を受け継がない確率が半分あるとか。
国全体で半分、半分を繰り返していけば、将来的には何世代か後にはゼロになるかもしれない。
サラセミア撲滅という壮大な国家計画の第一歩がこの高校生のスクリーニングと言えるかもしれません。
それしかサラセミアを減らしていくことができない辛い現実です。

ちなみに細く長くタイプで友達の数はそう多くないうちの子供の仲良しのシンガポール人も2人このサラセミアを持っています。
お友達は軽症な方だそうですが、走ると目の前が真っ暗になってしまうとか、しょっちゅう頭痛がするとか、全く普通の人と同じ暮らしはできていないようです。

国際結組の方でサラセミアを知らずに結婚してしまった方(普通はそうですよね)、もし子供さんがインターなどに通っていて学校経由の検査の連絡が来ない環境にいる場合は、ご家庭で子供さんへの説明と検査が必要だと思います。

うちの夫の出身国も標高100何百メートルかを境に暖かい地域にはマラリアが多く、その結果サラセミアも多いそうです。
マレーシアでも祖父母がインドや中国の南の暖かいマラリア発生地帯からの移民であればインド系中国系でもサラセミアが遺伝している可能性はゼロではありません。
シンガポールもタイも高い確率でサラセミア遺伝子を持つ人がいます。
中国ではもともと南方に多かったのが人の移動で今や北の方にも増えてきているとか。

日本でも地域により遺伝確率が高い地域があったそうです。でも今や人が集まる東京なんかも高くなっている可能性はありますよね。

子供さんの検査、受けましょうね。
「地球上からサラセミア減らしていく小さな第一歩」として。
(ただ確定まではDNA検査が必要で結構ややこしそうです。そのためそこまではやらずグレーというところまでであとは家族の病歴で判断みたいな面もあるようです。こっちの人は受けるときは父母兄弟家族揃って検査を受けに行くようです。)

書いている途中で子供(大学で遺伝子学も受講中)が大学から帰ってきて「今はDNAでサラセミアでないembryo(受精卵、胎芽)を選択できるからね。」と言っていました。 最初から自然妊娠を諦め人工授精でサラセミア遺伝子を持っていない受精卵を選択し妊娠。
サラセミアのキャリア同士でも遺伝子に影響が出ない確率は4分の1あるそうなので、自然妊娠して流産という悲しい経験は避けようと思えば避けられるようです。そういう将来的な選択も含めての「サラセミア撲滅計画」なんだと思います。